診療に伴い発生する試料・情報の医学研究への利用についての同意(包括的同意)に関するお願い

はじめに

 東京都立墨東病院は昭和36年4月1日に、東京都区東部、隅田川以東にある唯一の公的病院として開設されました。その後、平成13年には救命救急センターを含む「東京ER・墨東」を開設し、現在は周産期母子医療や精神科救急医療など救急医療のセンター的機能を担っています。また重点医療として 感染症医療、リウマチ膠原病やウィルス性慢性肝炎などの難病医療などを掲げていますが、がん診療にも力を入れており、平成27年には東京都がん診療連携拠点病院にも指定されるなど、高いレベルの医療を広く提供しています。
  一方で、多くの疾患はいまだに難治の病として人々を苦しめています。当院の使命の一つとして、これらの疾患に対して、新しい予防・診断・治療法を開発することが挙げられます。そのためには、患者さんから得られた血液やがん組織を用いて研究を行うことが不可欠です。病気の診断や治療は、長い期間をかけて進歩・発展してきましたが、まだ明らかにされていないこともあり、科学的に調べることが必要です。これは患者さん本人のみならず、お子さんや、お孫さん等、次世代の人々の治療にも関わってきます。
 当院は、医療の発展に貢献し、患者さんにより良い医療を提供するため、積極的に臨床研究に取り組んでいます。以下、臨床研究を実施するにあたり、皆様に御協力いただくための手続き等を記載しています。内容をお読みいただき、墨東病院の目指す臨床研究に御協力いただくことをお願い申し上げます。

診療に伴い発生する試料・情報について

 当院で診療を受けられますと、あなたにとって最善の治療方法を選択するため、あなたの病気やあなた自身に関する様々な検査試料や診療情報が集められます。主な検査試料としては、血液や尿、生検(診断のために組織の一部を採取すること)試料、手術で切除した組織などがあり、診断情報としては病歴(カルテ)、レントゲン・内視鏡写真などの画像や検査結果などがあります。以下、これらを「診療に伴い発生する試料・情報」と総称することとします。

診療に伴い発生する試料・情報の利用

 「診療に伴い発生する試料・情報」は、あなたの診断・治療に必要なものとして採取、収集され、その後一定期間保管されますが、診療上不必要となると、多くの場合廃棄処分されます。しかし、これらの試料・情報は、医学研究のために、大変貴重な材料です。画期的な診断・治療法が実験で証明されたとしても、最終的には人の試料・情報を用いて検証することが必須だからです。また、このような試料・情報を用いなければ見つけることのできない診断・治療法も多くあると考えられています。

説明と同意について

 当院では、患者さんに個別に説明同意を得ることを基本としています。
 また、研究の実施にあたっては、匿名化を行う等、個人情報への配慮を行っております。十分な匿名化が行われるものについては、包括的同意により情報を利用させていただくことがあります。
 包括的同意とは、「診療に伴い発生する試料・情報」を研究内容や研究者を特定しないで、将来の研究に利用することについて予め行う同意を意味します。

研究を実施するうえでの原則

 通常、人を対象とした医学研究において、試料・情報を用いて研究を実施する場合、国の指針(注1)に基づき、研究内容の妥当性、人権の尊重、個人情報の保護等の観点から、それぞれの研究毎に墨東病院倫理委員会(注2)で十分に審議されます。承認後は、病院長の研究実施許可を経て、試料・情報の提供者からの同意を個別に取得した上で研究を開始します。 しかし、「診療に伴い発生する試料・情報」は、多種多様であり、研究毎に一つひとつ提供者本人に連絡し、研究内容を説明し、同意を取得することが困難な場合もあります。例えば、死亡されている場合や転居等のため連絡をとることができない場合が考えられます。

 このような場合、倫理委員会の審議の中で、個別の同意取得が必要かどうかについても審議されます。倫理委員会において、個別の同意取得が困難、あるいは不要であると判断された場合は、実施する研究の題名とその内容を当院ホームページに公開したうえで、臨床研究を実施させていただきたく研究協力(包括的同意)のお願いをさせていただきます。
 なお、「診療に伴い発生する試料・情報」を用いて実施する研究(包括的同意利用研究)の題名とその内容については、当院ホームページ内の「実施中の臨床研究」(以下URL)に公開いたします。
URL:http://bokutoh-hp.metro.tokyo.jp/relation/rinsyo_kenkyu.html

(注1)国の指針…「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(平成29年2月28日一部改正文部科学省・厚生労働省)、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(平成29年2月28日一部改正文部科学省・厚生労働省・経済産業省)等、研究に係る指針

(注2)倫理委員会の役割…倫理委員会では、審査対象となる研究が、被験者の権利と安全を守っているか(人権の尊重)、研究計画が科学的に妥当かどうか、が厳格に審査されます。実際には、①医学・薬学の専門家、②医学・薬学の非専門家、③外部有識者、からなる倫理委員会委員が、提出された“研究計画書”“説明・同意文書”(被験者に対する研究内容の説明、同意取得のための補助資料)に基づいて審査を行います。外部有識者は、委員会の第三者性を確保し、主に倫理的観点から被験者の人権を守るため、参加しています。

遺伝子検査を伴う研究について

 臨床研究は、疾患の新しい診断・治療・予防法を開発することを目的に実施するものです。この目的を達成するためには、病気の本質を解明することが必要であり、そのために、「DNA」を用いて、“遺伝子の性質”や“遺伝子の変化”の両方を研究することが必要になることがあります。包括的同意は、こうした“遺伝子の性質”を調べる研究と“遺伝子の変化”を調べる研究のいずれも対象とします。なお、以下のとおり、個人が特定されないように匿名化処理を行うため、個人の情報が外部に漏れることはありません。

個人情報の保護

「診療に伴い発生する試料・情報」には、あなたの個人情報が多く含まれています。また、血液、組織などを用いて遺伝子の検査などを行うと、新たな個人情報が発生します。このため、研究を行う際は、個人情報の保護に細心の注意を払い、これらの情報はすべて個人が特定できないように匿名化をした上で取り扱います。これにより、血液、組織などを扱う研究者も、診療情報を扱う研究者も誰の情報かわからない状態で試料・情報を扱うことになります。

同意を撤回する場合の手続き

 同意をするかどうかはあなたの自由です。原則として、不同意の意思表示がない場合には同意があったものとみなします。また、一度同意をした後でもいつでも同意を撤回することができます。包括的同意に御賛同いただけない場合や、同意を撤回する場合には、外来受付とナースステーションに設置している「試料・情報の研究目的利用に関する不同意書」に必要事項を御記入の上、主治医に提出してください。また、当院ホームページにも必要な手続きについて掲載しています。
 不同意の場合、試料・情報を研究に利用することは一切ありません。また、実際の診療で不利益を受けることは一切ありません。

研究結果の公開と開示

 包括的同意を基に行った研究の成果は、世に広く知ってもらうため、学会や科学専門誌などを通して公開します。この際も個人が特定できるような情報は全て取り除いて行います。一方、得られた研究結果を、試料・情報をいただいた一人ひとりに御報告することはしません。これは、研究の時点ではその臨床的意義が分からないことが多いためです。ただし、重要な研究結果が得られ、その結果を知ることが、あなたやあなたの家族にとって非常に有益であると判断した場合は、倫理委員会等の意見を参考にした上で、あなたに結果の報告をしてよいかどうかの問い合わせをすることがあります。

最後に

 当院は、病気の発生・進行・再発・予後に関する臨床研究、新規の治療法に関わる臨床研究、手術や薬物療法、放射線治療等の効果・副作用などに関する臨床研究を日々続けています。一方で、人類は多くの疾患を克服するには至っていません。この目的を達成するためには皆様の御協力が不可欠です。今後も患者さんにより良い医療を提供していくために、皆様の御理解御協力をお願いいたします。

担当

東京都立墨東病院医事課医事管理担当

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2017年11月21日 最終更新