リウマチ膠原病科(外科系)

私たちは開設以来、関節リウマチに対する薬物療法および関節手術に積極的に取り組んできました。通常薬物療法は内科医が行い、手術時のみ整形外科医が担当する病院が多いなか、当科では薬物療法も手術療法も同じ担当医が行っている、全国でも数少ない体制を取っています。その経験と実績をもとに、これからも多くの患者さんの機能回復のお役に立ちたいと考えています。

診療内容

関節リウマチは進行性の関節疾患であり、原因不明の自己免疫疾患です。以前は不十分な治療しかできなかったため、関節が壊れて寝たきりになる方も少なからずおられました。現在は、MTX(メソトレキセート)および生物学的製剤による治療効果が期待できます。病期が長くになるにしたがって、いろいろな関節に障害が出てきます。たとえば痛みのために「歩けない」、変形して「歩きにくい」「物が持ちにくい」といった症状があります。しかし、杖や車椅子を使用しなければ歩けなかった患者さんでも、手術を受けることで歩けるようになり、痛みから解放され、快適な日常生活を送ることができるようになります。そのためには手術のタイミングが非常に重要となります。私たちは常日頃外来で患者さんたちに接することによって、こうしたタイミングを失うことなく、リウマチ関節外科医と膠原病内科医が綿密な連絡の下、トータルなケアにあたっています。

特色

生物学的製剤

リウマチの薬物治療の中心はMTXです。この薬剤を内服することにより、かなりの患者さんで病気の活動性が抑えられるようになりました。しかし、それでも活動性が抑えきれず進行していくケースや副作用などによりMTXが内服できないケースがあります。その場合、次の選択肢として生物学的製剤があげられます。

 生物学的製剤の登場により、リウマチ治療は劇的に向上しました。現在日本で使用できる製剤は、バイオシミラー製剤*を含めると8種類になります。いずれの製剤も病気の活動性をおさえ、関節の破壊を予防する優れた効果があります。約7割の患者さんに効果がみられると言われていますが、効果がなかった場合薬剤を変更することで効果があらわれることもあります。リウマチでは体内の免疫機構がおかしくなり、種々の炎症性サイトカインとよばれる物質が大量に放出されていますが、このサイトカインを抑制する作用があります。免疫をおさえることにもなるので、感染症に注意が必要です。また、製法が特殊であるため値段が高価であり、1月あたりに3割負担の場合2~4万円台かかってしまうのが難点です。当科では、すべての製剤が使用可能です。

* バイオシミラー製剤 有効成分が先行品と似ている製剤。生物学的製剤の場合、製造工程が複雑であり、全く同一の製剤にするのは不可能です。完全に製造方法がわかっている、いわゆるジェネリック製剤とは異なります。

☆レミケード TNFというサイトカインをおさえる点滴製剤です。日本で最初に導入された薬剤であり、最も使用成績の蓄積があります。レミケードに対する抗体の出現をおさえるためMTX内服の併用が必須です。初回投与後、2週間後、4週間後に投与し、そのあとは8週間ごとの投与になります。状態により投与量の変更や投与期間の短縮を行うことができます。

☆エンブレル レミケードの次に日本で使用可能となった薬剤です。TNFを抑制します。皮下注射で投与しますが、自己注射可能です。25mgと50mgの製剤があり、基本的に1週間あたり50mgを1回もしくは2回にわけて注射します。効果が持続し症状が落ち着いている場合などに投与間隔をあけてみることもできます。

☆ヒュミラ TNFを抑制する皮下注射製剤です。自己注射可能で、2週間に1回投与します。抗体産生をおさえるため、MTXの併用が推奨されています。以前は添加物の影響で注射による痛みが強かったのですが、現在は改善されました。

☆シンポニー TNFを抑制する皮下注射製剤です。自己注射はできず医療機関で投与を受けます。MTXを内服している場合は1本、内服していない場合は2本を4週間ごとに投与します。MTX併用時でも病気の活動性が高い場合、2本投与することも可能です。

☆シムジア TNFを抑制する皮下注射製剤です。自己注射可能です。構造上胎盤を通過しないため、妊娠中にどうしても生物学的製剤が必要な場合使いやすい薬剤です。原則として2週間に1回の投与ですが、症状が落ち着いている場合4週間ごと2本注射することも可能です。

☆アクテムラ IL-6というサイトカインをおさえる、日本で開発された生物学的製剤です。点滴製剤と皮下注射製剤の両方があります。点滴では4週間に1回の投与です。皮下注射の場合自己注射可能です。投与間隔は2週間ごとですが、効果不十分な場合毎週投与することも可能になりました。IL-6を抑制する結果CRPや血沈といった炎症マーカーが上昇しなくなるので、感染症などの発症に気付くのが遅れないよう注意が必要です。

☆オレンシア 免疫反応にかかわるT細胞の活性化を抑制します。点滴製剤と皮下注射製剤があります。点滴では4週間に1回、皮下注射は自己注射可能で毎週の投与となります。他の薬剤にくらべて、感染症の発症がやや少ない傾向があります。

☆インフリキシマブBS レミケードのバイオシミラー製剤です。効果・安全性は同等であることが、臨床試験で示されています。投与方法・量・間隔は、レミケードと同じです。値段が先行品の約7割と安価になっています。

人工関節置換術

壊れた関節を復元させる最も優れた手術です。人工関節で置き換えられる関節は主として膝関節、股関節で、すでに20年の優れた成績が報告されています。人工肘関節も古くから行っており優れた長期成績を残しています。その他、肩関節、足関節、手指関節でも優れた成績を残せるようになってきています。特に肩関節では、従来の機種では痛みは取れても挙がらないことが多かったのですが、三角筋の力で肩が挙がるようになるリバース型人工肩関節(Reverse Shoulder Arthroplasty)も導入し機能改善に役立てています。

人工関節置換術について、詳しくはこちら

関節形成術

股関節、膝関節といった大きな関節ではなく、手関節、手指、足趾の関節など、小さな関節が対象になります。特に足趾は関節を温存させた術式を用いています。手指に関しては、断裂した腱を同時に再建することもできます。

足趾形成術

当科では関節リウマチで高度に変形した足趾に対して、関節を温存して変形を強制しています。以前は関節を切除して変形を治していましたが、患者さんの満足度、変形再発の予防を考え、踏ん張りがきくなどより機能を重視した手術に移行しています。関節リウマチのコントロールは良好ですが、足趾変形のために足の裏に胼胝(タコ)ができて痛い場合にはこのような手術を行えば、生活の質は確実に向上すると考えております。

術前 術後
術前 術後

関節固定術

痛みをとり、変形を矯正する優れた手術法で、主として足関節、手関節、手指関節が対象になります。一度固定されてしまえば、動かなくなる分痛みがとれます。指1か所なら日帰り手術も可能です。

滑膜切除術

関節リウマチの原因である滑膜を切除する手術です。肩関節、膝関節、足関節は鏡視下切除といって関節鏡を用いることが多く、したがって手術創もほとんど残りません。人工関節にはまだ早い、一部関節局所の腫れがみられる患者さんが対象となります。足関節滑膜切除術では、元気な方は日帰り手術も可能です。

主な医療設備

人工関節手術対応可能なクリーンルームを2部屋確保、人工股関節前方アプローチ専用の手術台も導入しました。リハビリテーションは専用のフロアで行います。また、病棟には膝関節リハビリ用具を用意しており、御自分のベッドでも関節可動域訓練を行っています。

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2017年9月12日 最終更新