形成外科

外来のご案内

再建外科診療:  月曜午前・金曜午前の“形成外科(山本匠)外来”
リンパ浮腫診療: 火曜午前の“リンパ浮腫外来”
一般形成外科診療水曜午前の“形成外科外来”

診療内容

外傷・瘢痕形成などの一般的な形成外科(体表の形成手術)診療のほか、顕微鏡下でのマイクロサージャリー(微小血管吻合:1-2mm程度の血管吻合)・スーパーマイクロサージャリー(超微小血管吻合:0.5mm前後の血管吻合)を用いた再建術を特色とした診療を行っております。
外来診察は月・火・水・金の午前中です。初診の方は月・水・金の午前中に予約をいただいております。 特に、リンパ浮腫治療をご希望の方は火曜日のリンパ浮腫外来リンパ浮腫専門外来参照)、足趾移植・乳房再建(穿通枝皮弁移植)・その他組織移植などの微小血管吻合・超微小血管吻合を用いた再建手術をご希望の方は月曜日・金曜日の山本匠外来スタッフ紹介参照)にお越しください。


スーパーマイクロサージャリーによる0.3mmの血管吻合

取扱疾患

  • 顔面・手指など体表の外傷、顔面骨骨折や組織切断(指・耳・鼻・陰茎切断など)、それらにより形態変形(顔面変形、骨欠損)・機能障害(神経麻痺など)が生じたもの
  • 肥厚性瘢痕・ケロイドや熱傷瘢痕拘縮など
  • 神経障害:顔面神経麻痺などの運動神経障害、三叉神経麻痺・有痛性神経腫などの知覚神経障害など
  • 腫瘍:組織欠損を生じ再建術を要するもの(腫瘍そのものの切除・治療は該当科:外科・皮膚科・整形外科などにご相談ください)、腫瘍切除後の形態変形(顔面変形・骨欠損)・機能障害(神経麻痺)など
  • 四肢の疾患:難治性潰瘍、偽関節・骨髄炎などの血管柄付き骨移植などを要するもの
  • 躯幹の疾患:腹壁瘢痕ヘルニア(メッシュなどの通常の外科治療ができないもの)
  • 乳癌術後後遺症:乳房欠損(深下腹壁動脈皮弁移植などの自家組織再建を希望される方)
  • リンパ浮腫・血管奇形:がん治療後の二次性リンパ浮腫、原因不明の原発性リンパ浮腫
    (レーザー治療などの美容外科は行っておりません)

外傷

顔面外傷

顔面外傷では、瘢痕(きずあと)や外傷性刺青(創部に砂などの異物が残り刺青のように色が残る)などが問題となります。陳旧性の瘢痕にはZ形成術などで瘢痕を目立たなくします。外傷に伴う顔面神経などの神経損傷に対しては、顕微鏡下神経縫合や神経移植などで治療します。

顔面骨骨折

鼻骨・頬骨・眼窩底などの骨折に対し、非観血的・観血的治療を行います。骨折整復術や腸骨移植術などにより治療します。

手指外傷・切断損傷

指~前腕の外傷による腱、神経、血管断裂や骨折、組織欠損に対し、縫合や植皮・皮弁移植などで治療します。手指切断の新鮮例では再接着術・皮弁移植・断端形成を、陳旧例には足趾移植・皮弁移植による再建も行っています。指の切断の他、耳・鼻・口・陰茎切断などに対する再接着術や再建術も行っております。

切断指の再接着術(静脈移植を併用、2A2V3N)


採取部位(第II趾)の趾・爪を温存する足趾移植(toetip移植)
Yamamoto T, et al. Use of non-enhanced angiography to assist the second toetip flap transfer for reconstruction of the fingertip defect. Microsurgery 2014;34(6):481-3.


採取部位の犠牲が少ない足趾移植(hemipulp移植)
Yamamoto T, et al. Transversely-inset great toe hemi-pulp flap transfer for the reconstruction of a thumb-tip defect. Microsurgery 2014 Oct 31 [Epub ahead of print]

瘢痕

肥厚性瘢痕・ケロイド・瘢痕拘縮

肥厚性瘢痕・ケロイドは外傷、熱傷、手術などをきっかけに発生する隆起性病変です。肥厚性瘢痕は傷が一定の深さまで達し、感染などが加わるなどして治癒の遷延が起こると誰にでもどの場所でも発生しますが、ケロイドはケロイド体質といわれる素因のある人の耳、胸、肩、腕、下腹部などに発生します。治療には、トラニラスト内服、ステロイド局注、外科的切除、放射線照射などがあります。難治性のケロイドは当院では治療不能です。
瘢痕拘縮は瘢痕が関節部で関節可動域制限(関節が伸ばせないなど)を生じた状態です。瘢痕によるひきつれをZ形成術・植皮・皮弁移植術などにより解除することで治療します。

主要血管を犠牲にしない遊離穿通枝皮弁移植術による肘部の瘢痕形成術

神経障害

顔面神経麻痺などの運動神経障害

Bell麻痺(突然起こる片側の顔面麻痺)・Hunt症候群(帯状疱疹ウィルス感染)・ギランバレー症候群・糖尿病・炎症・外傷・耳下腺の手術など様々な理由で顔面神経麻痺が生じ、眉毛下垂・麻痺性兎眼・顔のゆがみ・口の麻痺などの症状が出現します。顔面神経麻痺の急性期は耳鼻科で治療されますが(外傷による顔面神経麻痺は形成外科で神経縫合します)、麻痺が残存した慢性期は形成外科で治療しております。血管柄付き神経・筋移植により麻痺した部位に別の部位から動く筋肉を移植する動的再建や、兎眼や口角下垂などの形態のみを改善する筋膜移植等による静的再建を行います。

知覚神経障害や有痛性神経腫など

神経切断などによる知覚神経障害には神経縫合術や交差神経縫合術・神経移植術などで治療します。神経腫(神経のこぶ)による痛みを生じる有痛性神経腫では、神経腫切除のみでは再発率が高いため、神経縫合術・移行術・移植術や知覚皮弁移植術などで治療します。脊髄などの中枢神経で痛みが記憶された複合性局所疼痛症候群(CRPS:昔はカウザルギーなどと呼ばれた)では当科では治療不能で、麻酔科(ペインクリニック)などで症状をコントロールします。

腫瘍

腫瘍切除後の再建

悪性腫瘍などの切除に伴い、身体の重要な構造物(皮膚・神経・筋肉・骨など)も切除された場合、皮弁移植・骨移植・筋肉移植術などによりそれらを再建します(作り直す)。舌癌での遊離皮弁移植術による舌再建、顔面皮膚癌での表情筋合併切除時の遊離筋・神経・皮弁移植による顔面神経再建や、四肢悪性軟部組織腫瘍切除での血管柄付き骨移植・筋肉移植による機能的再建などが可能です。腫瘍の切除そのものは該当科(外科・口腔外科・皮膚科・整形外科など)にご相談ください。腫瘍切除後に生じた形態変形・機能障害でお困りの際も形成外科で治療が可能な場合がありますのでご相談ください。

四肢の疾患

難治性潰瘍など

通常の治療法で軽快しない難治性潰瘍や開放骨折で皮膚が閉じられない場合(金属プレートなどが露出した場合)に遊離皮弁移植などにより治療します。侵襲(体の負担)が大きいため、基本的に若年者が対象となります。

偽関節・骨髄炎

抗生剤投与・デブリードマン・洗浄などの通常治療で軽快しない場合に血管柄付き骨移植・筋肉移植などで治療します。大腿骨など大きな骨の場合は整形外科にまずご相談ください。

難治性潰瘍に対する遊離浅腸骨回旋動脈皮弁移植術

体幹・乳房の疾患

腹壁ヘルニア

通常は外科において腹壁の再閉鎖術・メッシュによる閉鎖術により治療されますが、メッシュが感染した場合などでは筋膜移植・筋膜皮弁移植術などが必要なことがあり形成外科も合同で治療を行います。

乳癌術後後遺症(乳房欠損)

現在のところ当院では自家組織による乳房再建(深下腹壁動脈穿通枝皮弁移植術など)のみを行っております。リンパ浮腫との同時治療(リンパ管細静脈吻合術もしくは血管柄付きリンパ節同時移植)も可能です。乳癌手術と同時に行う一次再建および乳癌治療後の二次再建のいずれも可能ですが、まずは乳癌治療を担当している外科主治医にご相談の上、形成外科に受診いただきます。

その他

二次性リンパ浮腫、原発性リンパ浮腫・血管奇形

乳癌・子宮癌・卵巣癌・前立腺癌などの治療でリンパ節郭清や放射線療法がおこなわれると、その部位でリンパの流れが滞り手足に進行性のむくみが生じます。これががん治療後の二次性リンパ浮腫で、圧迫療法を中心とした保存的な治療が行われますが、根治的でない(治らない)ため生涯に渡り圧迫が必要な上、なかには圧迫療法だけでは効果が不十分で進行し続ける方もいます。通常、国際リンパ学会(ISL)の分類により重症度・病期が分類されますが、必ずしも病態を適切に評価できておらず治療方針にはあまり有効ではいとの指摘もあり、我々はインドシアニングリーン(ICG)リンパ管造影を導入しリンパ浮腫の評価に活用しています。リアルタイムでリンパ流を可視化できる検査で、患者さんと一緒に可視化されたリンパ流を見て説明しながら検査致します。ICGリンパ管造影により、治療方針の検討に有用な二次性リンパ浮腫の重症度分類および原発性リンパ浮腫の分類が可能となりました。
当科では超微小血管外科の技術を応用した、リンパ管細静脈吻合術(LVA)でリンパのうっ滞を解除する根治的な手術を行っています。LVAでは2cm程度の切開から0.05mm程度の針を使って0.5mm前後のリンパ管を細い静脈に吻合します。多く吻合した方が治療効果が高いため時間内になるべく多く吻合します。LVAは局所麻酔で2泊3日入院手術もしくは外来日帰り手術で行っております。発症後早期であるほど効果が見込めます(浮腫が改善する、場合により圧迫療法を軽減もしくは止められる)が、進行例にはLVAのみでは不十分であり血管柄付きリンパ節・リンパ管移植術(LNT)を行います。LNTでもスーパーマイクロサージャリーの技術を用いて、採取部位にリンパ浮腫が発症しないよう選択的にリンパ節の栄養血管を剥離し遊離穿通枝リンパ節弁として移植を行います。また、経過の長いリンパ浮腫では浮腫組織の脂肪が増大しているため形態改善のためには減量術(脂肪吸引・皮弁)が必要となります。リンパ節移植術・減量術では基本的に全身麻酔手術で2泊3日以上の入院が必要となります。
顔面リンパ浮腫・陰部リンパ浮腫・原発性リンパ浮腫などの治療困難リンパ浮腫、また、がん治療前やリンパ浮腫発症前でリンパ浮腫について心配な方の治療・相談にも応じております。

ICGリンパ管造影によるリンパ流の評価
(リンパ浮腫の進行により造影所見がLinear → Splash → Stardust → Diffuseと変化する)
Yamamoto T, et al. Characteristic indocyanine green lymphography findings in lower extremity lymphedema: the generation of a novel lymphedema severity staging system using dermal backflow patterns. Plast Reconstr Surg 2011;127(5):1979-86.


ICGリンパ管造影による重症度分類(DB stage)と治療方針
(適切な治療方針の検討に有用な病態評価方法)
Yamamoto T, et al. The earliest finding of indocyanine green (ICG) lymphography in asymptomatic limbs of lower extremity lymphedema patients secondary to cancer treatment: the modified dermal backflow (DB) stage and concept of subclinical lymphedema. Plast Reconstr Surg. 2011;128(4):314e-21e.
Yamamoto T, et al. Subclinical lymphedema: understanding is the clue to decision making. Plast Reconstr Surg 2013;132(3):472e3e.


圧迫療法抵抗性のリンパ浮腫に対するLVA
(静脈にリンパ液が流れて透明になっている。術後、浮腫が改善し体重が7kg減少)


スーパーマイクロサージャリーの技術を用いた選択的遊離穿通枝リンパ節弁移植術
ICGリンパ管造影を用いた術中ナビゲーションにより上肢からのリンパ流・リンパ節を温存して側胸部よりリンパ節を採取し移植)

その他、業績など

リンパ浮腫の外科治療を始めスーパーマイクロサージャリーの分野で著明な診療・研究業績を上げております(業績リンク)

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2016年7月26日 最終更新