救命救急センター

診療内容

当救命救急センターは、東京消防庁の区分する第7方面(墨田・江東・江戸川・葛飾区、対象人口は約170万人)を担当する三次救急医療施設として、昭和60年11月に設置されました。以来、東京消防庁からの「ホットライン」による受け入れ要請に、24時間体制で対応し、年間1,900名以上の重症患者の治療を行っています。

特色

専任スタッフによる運営

当院の救命救急センターのスタッフは、救命救急センター業務に専任しており、院内各科からのローテーションの場合も、その期間中は救命救急センター専任となります。また、それぞれのスタッフが外科や内科、脳神経外科、整形外科などのスペシャリティーを有しており、重症多発外傷患者のようなケースでも、何の支障もなく対応できる機動性を確保しています。
同時に、院内各科からのローテーションがあるため、院内各科との連携もスムーズに行えます。

後方病棟の存在

通常、救命救急センターは、最重症期間のみを扱い、それを越えて軽快期もしくは慢性期にはいった場合は、その患者さんを救命救急センターから出すことを要請されています。一般的な救命救急センターでは、収容して1ないし2週間の後に、他病院あるいは院内各科に患者さんを転出させていますが、実際問題として患者さんを他病院あるいは院内各科に転出させることは非常に困難を伴うものです。
また、医療の責任として、退院もしくは社会復帰まで一貫して診るべきであるとの立場から、当院では、救命救急センターから転出させる患者さんを引き受けるべき後方病棟を開設時より設置しており、その運営には、救命救急センターのスタッフが継続して当たっています。

フォローアップ外来の設置

後方病棟を設置したのと同様の考えから、退院後も引き続いてフォローアップすべく、フォローアップ外来なるものを現在3科(外科、整形外科、脳外科)にわたって実施しています。

救急診療科との連携

平成13年11月末から、当院の救急医療体制が、「東京ER・墨東」として再編成されるにあたり、当救命救急センターも、この新しい体制の中に組み込まれることとなりました。
当初、初期救急および二次救急の初療を担当するべく新設された「救急診療科」と、三次救急医療を担当する既存の「救命救急センター」が、それぞれ個別に運営されていましたが、翌14年3月より、ER運営の要であるコーディネーター職を救命救急センターが責任を持って担うこととなりました。
このことにより、救急診療科と救命救急センターとの連携がよりスムーズなものとなり、その結果、「東京ER・墨東」が、医療資源の効率的活用を目的とした現行の初期、二次、三次というピラミッド型のシステムから、症状の軽重にかかわらず地域の救急患者を一カ所で集中的に診療するという患者側の利便を第一に考えた新しいシステムに進化することとなりました。

主な医療設備

  • 救命救急センター 24床(LICU12床、EICU12床)、後方病棟 55床
  • 生態情報管理システム
  • 人工呼吸器
  • 持続緩徐式血液透析濾過装置(CHDF)
  • 人工透析装置(HD)
  • 経皮的人工心肺装置(PCPS)など

地域とのつながり

  • 救急救命士要請のための講義、現役の救急救命士に対する実地訓練
  • 地域の医師会主催の勉強会、消防本部主催研究会の講師

救急科専攻医 募集のお知らせ

*募集要項については、こちらをご覧ください。

⇒救急シニア募集ページ(http://bokutoh-hp.metro.tokyo.jp/recruit/post_4.html )

 東京都立墨東病院では、平成29年度の救急科専攻医(後期臨床研修医・シニアレジデント)を募集しています。
 新しい専門医制度(2階建て方式)へ移行するなかで、救急科は、内科、外科と並ぶ1階部分となり、より確実で幅広い専門的な知識と高度な治療手技を安全に駆使して様々な患者の治療にあたる能力が求められることになります。
 当院救急科では、特にこれらの期待に応えることのできる次の世代を担う救急科専門医の育成に力を注いでいます。
 東京都立墨東病院における救急科専門医の育成システムにおいて、救急医をめざす先生たちへのアピールポイントは次のとおりです。



圧倒的な経験症例数と指導医数

 学会のレジデント数の症例割当の表を出す。初期・二次救急のERでは年間受診患者 約4万人、年間救急車収容数が約5000件であり、高度救命救急センターでは年間約2000件の救急車を収容しています。症例は豊富であり、救急専門医取得にあたり必要とされる疾患、手技が十分に経験できます。

(参考)本年の専門医機構が示した救急科専攻医数の募集基準と当院の症例数について

1名の救急科専攻医
募集に必要症例数

当院年間
症例数(約)

当院で募集可能な
専攻医数(名)

心停止
15
480
32
ショック
5
220
44
内因性疾患
45
18000
400
外因性疾患
20
12000
600
小児特殊救急
6
12000
2000
救急車
500
7200
14.4
救急入院数
200
6800
34
重症救急患者
20
1500
75
当院で募集可能な専攻医数(名)=当院症例数÷1人の救急科専門医育成に必要な症例数

 また、現在救急診療科・高度救命救急センターの常勤医が総勢24名で、そのうち救急科指導医2名、救急科専門医8名、その他の専門医資格保持医師数(総合内科3名 外科4名 脳神経外科2名 整形外科1名 循環器科2名 集中治療科3名 病院総合診療1名 クリニカルトキシコロジスト2名)と幅広いサブスペシャリティを持つ指導医のバックアップを受けて幅広く、深く救急疾患や外傷の診療の研鑽を積むことができます。



様々な治療手技の習得が可能

 当科では、ECMO、IVR、内視鏡、血液浄化などのdefinitiveな治療スキルを自分の武器として身につけることができるように研修をバックアップすることが可能です。ECMOは、循環不全、ECPRと呼吸不全をあわせ年間約40例、血液浄化は年間約65例、IVR年間約35例、緊急内視鏡年間約50例が行われており各自のスキルの醸成具合に応じた研修を指導・コーディネートいたします。 スキルアップのメソッドとして、ECMOに関しては、動脈・静脈のシース確保から始まり経験を積み、PCPS挿入の介助などを経てステップアップしていけるプログラムを運用しており確実に安全な手技が施行できるようにスキルをつけていくことが可能です。また、他科へのパートタイム研修(放射線科→IVR・消化器科→内視鏡・マイナー科→ER診療)を積極的に取り入れており各科の専門医による指導を受けることができます。

救急科専門医が毎年複数誕生する安心のプログラム

 当院の救急科から毎年数名ずつ救急科専門医が誕生しています。安心して実績のある充実した専門医育成プログラムを受けて救急科専門医への道を歩んでいただくことが可能です。

(参考)当科からの救急科専門医合格者数
 
平成24年
平成25年
平成26年
合格者数
3
2
3


 症例数も多いため症例の取り合いになることも皆無です。納得がいく十分な研修を積んだ上での専門医試験の受験が可能です。



レジデントから常勤医への定着率の高さ

 当科では「ここで育って、ここで働き、この地域の患者さんを守る!」のモットーで、研修修了後に常勤医となって活躍する先生の定着率も高く、医局の雰囲気も良好です。常勤医となった後も、この病院での更なる救急医としての研鑽は続いています。

(参考) 当院内レジデントからの救急科常勤医採用者数
 
平成24年
平成25年
平成26年
常勤定着数
2
1
2


 東京都立墨東病院の救急科専門研修プログラムでは豊富な症例を通じ、経験に裏打ちされた知識と技術を得ることができます。我々とともに日々研鑽し努力いただける先生方の応募をお待ちしています。

 また、当プログラムについてのご質問や当院の見学のご希望などがございましたら、お気兼ねなく下記のメールアドレスまでお問い合わせいただけると幸いです。
東京都立墨東病院 救急診療科・高度救命救急センター
医長 岡田 昌彦
E-mail: bokutoh.emerg@gmail.com


  参考として東京都立墨東病院施設群 救急科 東京医師アカデミー専門研修プログラムより抜粋一部編集したものを掲示させていただきます。



東京都立墨東病院の救急診療体制

 当院の救急診療はwalk-inから2次救急の救急車に対応する救急診療科(ER)と3次救急に対応する高度救命救急センターから成り立っています。スタッフは現在常勤医があわせて24名で、そのうち救急科指導医2名、救急科専門医8名、その他の専門医資格保持医師数(総合内科3名 外科4名 脳神経外科2名 整形外科1名 循環器科2名 集中治療科3名 病院総合診療1名 クリニカルトキシコロジスト2名)です。救急診療科と高度救命センター双方の研修を行うことにより救急医に必要な偏りのない幅広い能力を身につけることができます。

◯救急診療科(ER)
  ERでは、すべてのER受診患者をER疾病系(成人内科疾患)、ER外傷系(外傷疾患)、ER小児系(小児内科)の3系列に振り分けて診療を行っています。
 救急診療科では疾病系と外傷系の受診患者の外来診療を専従で行い(小児内科は小児科医師で対応)、診断、初期治療、dispositionの決定を行います。入院適応と判断された場合は各科にコンサルテーションし、入院の管理は各科が行います。救急診療科では特に救急医に要求されるトリアージ能力、重症度判定、初期対応能力、多様性を学ぶことができます。




◯高度救命救急センター
  高度救命救急センターは区東部の約180万人の3次救急を担当しています。救命センターに外科医、脳外科医、整形外科医、内科医、循環器内科医、集中治療医が常駐する独立型救命センターであり、現在21名のスタッフと、救急科レジデント、院内・他病院からの短期研修のレジデントで診療にあたっています。多発外傷は勿論のこと、脳卒中、呼吸不全、急性冠症候群、各種ショック、消化管出血などの多岐にわたる内因性疾患、中毒、熱傷、心停止と多種多様な重症救急患者に対し、初期診療から救命センターでの集中治療、そして後方病棟での管理までを一貫して救命センタースタッフが担当しています。2014年には初療室にIVR-CTが導入され、今までにないスピード感あふれる初期診療が行えるようになりました。外傷における止血までの時間短縮、頭部外傷における初療室穿頭、急性冠症候群に対する初療室での冠動脈造影・経皮的冠動脈形成術による再灌流までの時間短縮、急性期脳梗塞での搬入から脳血管内治療までを初療室で行う試み、腹部大動脈瘤破裂に対する初療室でのEVAR、などさまざまな先進的試みを行っています。また、心停止症例に対しては適応を厳選したうえではありますが積極的にECPRを試みています。救命センターに入室後の集中治療においても集中治療医と各専門をもつ医師が協力しあたっています。体外循環を行う症例も多く、当然CEのバックアップを受けることもできますが、体外循環は救急医のみでも開始し管理できる知識を習得することを必須と考えています。
 高度救命救急センターでは、重症患者の初期対応、集中治療を学び、目前の患者の生命を救う力を養います。



経験できる症例・手技

 ERでは年間受診患者が約4万人、年間救急車収容数が約5000件であり、高度救命救急センターでは年間約2000件の救急車を収容しています。症例は豊富であり、救急専門医取得にあたり必要とされる疾患、手技は十分に経験できます。
 特に手技に関しては高度救命救急センターでは手術やTAEなどのdefinitive therapyに参加することができます。特に救急集中治療を志すレジデントにおいては3年間の研修のうちにECMO(PCPS)の導入・管理、血液浄化の導入・管理ができることを目標としています。
 また、研修の進捗状況によっては協力病院での熱傷診療、内視鏡研修、小児救急診療の研修を行うことが可能です。



ローテーション、連携施設

 新専門医制度では単一の施設のみの研修ではなく、連携施設での研修を必須としていますが、当コースでは東京大学病院救急部、東京逓信病院救急総合診療科と連携しています。墨東病院を主体に研修することになりますが、都心の近い医療圏でおちついて3年間の研修をおこなうことができます。



学術活動

 臨床で多忙な日々ではありますが、学術活動にも力をいれており、学会発表、論文作成も活発に行なっています。3年間の研修を通じて、スタッフの指導のもと学会発表、論文作成を行います。以下は2016年に救命センターもしくは救急診療科スタッフから発表された原著、症例報告、レターです。

(pubmed収載分のみ)
・Sakatani T, Kitamura Y, Yamagishi T. Details for transfusion in trauma patients. J Trauma Acute Care Surg. 2016 Oct 25.

・Shibahashi K, Doi T, Tanaka S, Hoda H, Chikuda H, Sawada Y, Takasu Y, Chiba K,Nozaki T, Hamabe Y, Ogata T. The Serum Phosphorylated Neurofilament Heavy Subunitas a Predictive Marker for Outcome in Adult Patients after Traumatic Brain
Injury. J Neurotrauma. 2016 Oct 15;33(20):1826-1833.

・Kashiura M, Yamagishi T, Kitamura Y, Sakatani T. Was the Effect of Antibiotic Administration Time Adjusted Properly? Ann Emerg Med. 2016 Oct;68(4):525-6.

・Sugiyama K, Kashiura M, Hamabe Y. Amiodarone and lidocaine for shock
refractory ventricular fibrillation or ventricular tachycardia in out-of-hospital cardiac arrest: are they really effective? J Thorac Dis. 2016 Aug;8(8):E791-3.

・Kashiura M, Kitamura Y, Sakatani T, Yamagishi T. What Is the Appropriate Therapy for Community-Acquired Pseudomonas Aeruginosa Pneumonia? Chest. 2016 Sep;150(3):756-7.

・Shibahashi K, Hoda H, Takasu Y. Contralateral subdural hematoma development following unilateral acute subdural hematoma evacuation. Br J Neurosurg. 2016 Jul 22:1-5.

・Kashiura M, Miyazaki K, Fujita H, Hamabe Y. Blackish haematuria and gas gangrene. Intensive Care Med. 2016 Sep;42(9):1498-9.

・Akashi A, Kashiura M, Mikami M, Hamabe Y. [The current situation of aggravated intoxication with "kiken" drugs (law-evading drugs)]. Chudoku Kenkyu. 2016 Mar;29(1):21-5. Japanese.

・Kashiura M, Sugiyama K, Hamabe Y. Is grey-to-white matter ratio affected by contrast material? Resuscitation. 2016 Jul

・Sugiyama K, Kashiura M, Akashi A, Tanabe T, Hamabe Y. Prognostic value of the recovery time of continuous normal voltage in amplitude-integrated
electroencephalography in out-of-hospital cardiac arrest patients treated with therapeutic hypothermia: a retrospective study. J Intensive Care. 2016 Apr 2;4:25.

・Kashiura M, Hamabe Y, Akashi A, Sakurai A, Tahara Y, Yonemoto N, Nagao K, Yaguchi A, Morimura N; SOS-KANTO 2012 Study Group.. Applying the termination of resuscitation rules to out-of-hospital cardiac arrests of both cardiac and non-cardiac etiologies: a prospective cohort study. Crit Care. 2016 Mar 1;20:49.



到達目標

 当院救急科コースの期間は3年ですが、3年目にはERもしくは高度救命救急センターでスタッフと同等のマネージメントができる能力を身につけることを目標としています。すでに当院シニアレジデントから救急診療科、高度救命救急センターのスタッフとなっている先輩も多数おり、継続して研鑽をつむことも可能です。

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2017年3月16日 最終更新