経緯
石原都知事が掲げた「東京発医療改革」の具体策のひとつとして、「いつでも、誰でも、様々な症状」の救急患者に適切に対応できる救急診療体制「東京ER」を都立3病院(墨東・広尾・府中)に設置することが平成12年6月の知事記者会見で発表された。そして、墨東病院への設置時期は他に先がけ13年度とされたことから、体制の整備に努め、平成13年11月28日午後5時より「東京ER・墨東」を開設した。開設後も、救急診療の円滑な提供をめざし、体制に工夫を加えながら充実を図っている。
「東京ER・墨東」開設前の課題
従来より「救急医療に全力を尽くす」ことを病院理念のひとつとして、救命救急センターでの専任スタッフによる三次救急対応をはじめ、初期・二次救急対応、また、精神科や周産期など特殊領域の救急対応にも努め、地域救急の中核的役割を果たしてきた。
しかし、人的体制が不十分な時間外の救急診療においても、平日昼間並みの医療サービスを求める患者要望が増大する一方、救急患者の約8割を占める初期救急患者の診療は、入院患者管理を行う病棟当直医が対応しており、入院患者急変時や緊急手術時には救急外来診療を中断せざるを得ず、患者を長時間待たせるケースが生じていた。
また、時間外の緊急手術に対応する麻酔科の当直系列は1系列のみであり、同時複数の要手術患者の受け入れについて断らざるを得ない場合もあった。
「東京ER・墨東」の体制(総括)
「東京ER・墨東」は、初期救急患者の診療及び二次救急患者の初療に専任医師が対応する「救急診療科」を設置し、三次救急患者対応を基本とする既存の救命救急センターと連携をとりながら、墨東病院として初期から三次までの救急患者に総合的に対応する救急診療体制を構築している。
診療体制
1.診療体制の基本方針
- 疾病系・外傷系・小児科の救急診療専任系列からなる「救急診療科」を設置。さらに救急診療業務全体を指揮するコーディネーター医師を専任配置。
- 救命救急センター初療室増設による三次救急患者の受け入れ体制強化。
- 救急診療科と救命救急センターを包含する「救急部」を設置、外科系副院長を責任者として配置し業務を統括。
- 要専門的診療・要緊急手術・要入院時の既存管理当直体制による対応。
- 時間外手術に対応する麻酔科医師の当直体制強化(1系列→2系列)。
- 指導教育担当医師配置による、医師教育体制の強化。
2.看護体制
- 救急室看護体制の充実
- 夜間における手術室看護体制の強化
3.病院情報システム延長稼働等による効率的な診療バックアップ体制の整備
- 病院情報システムの延長稼働
- 医事・放射線・検査・調剤業務の効率的なバックアップ体制の整備
4.診療施設・設備の充実
- 救急病棟設置、病床増床(5床→10床)、後方病床の一般病棟内設置
- 救急診療科診察ブースの拡大(3ブース→6ブース)
- 経過観察室・面談室の設置
- コーディネーター医が調整・情報管理等を行う「管理室」の設置
- 消防署・医療機関との専用電話設置
- 救命救急センター初療室の拡大(1室→2室)
- サインの充実等によるわかりやすい「東京ER・墨東」エリアへの誘導

地域・救急隊との連携推進等
- 救急患者の状態に応じた適切な医療機関紹介を可能とするため、近隣医療機関の診療情報をアンケートにより収集、地域別・分野別に集約したほか、病院幹部による医療機関訪問を随時実施し、診療協力等について依頼を行っている。
- 「東京ER・墨東」と密接に関係する救急隊とも定期的に意見交換を実施、救急患者の搬送及び診療システムのより一層の効率化に向け、協議を進めている。
その他
- 「東京ER・墨東」は救急診療に対応する体制であり、急患以外は対応しない。
- 「東京ER・墨東」開設に伴い拡充した診療系列は、疾病系・外傷系・小児科の3系列であり、眼・耳鼻・皮膚・泌尿器科等の医師配置の少ない診療科については、地域の医療機関と連携しながら対応していく。
- 精神科救急などの特殊救急分野や、周産期センターの体制は変更していない。
- 「東京ER・墨東」は医科における取り組みであり、歯科の体制変更は行っていない。
